合同会社とは何かを説明しました。「どんな会社なんだろうか?」とか「株式会社とは何が違うんだろうか?」と疑問を持たれた方はご覧ください。どんな特徴があるのか、他の会社と何が違うのかをご紹介しています。
なぜ合同会社を選ぶのか?
あなたは、合同会社という会社形態をご存じですか? おそらく、「名前ぐらいは聞いたことあるけれど詳しくは知らない」とか「株式会社なら知ってるけど合同会社はちょっと…」という人が多いのではないでしょうか。
人によっては、「知らない、やばいんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。確かに、会社といっても聞いたことがない形態だとどうしても不安に感じますよね。ですが、会社と名乗るぐらいですから、ちゃんと国から認められた形態なんです。
怪しいどころか、むしろ最近非常に注目されていて、会社を新規立ち上げする場合に合同会社を選ぶ人がとても多くなっています。中には、株式会社から合同会社に変えてしまう会社すらあります。それだけ合同会社という形態には魅力があるということなんですね。
では、合同会社にはどんな特徴があるのか、わかりやすくご紹介しましょう。
合同会社、7つの超重要ポイント!
それでは、合同会社についてポイントを7つご紹介します。
合同会社を簡単に説明すると?
合同会社について多くのサイトで説明されていますが、なかなかわかりにくいと思います。そこで簡単に理解しやすく説明すると、イメージとしては以前存在した「有限会社」の代わりにできたものであると考えればいいと思います(厳密にいうと違うんですが)。
実際に、2006年に有限会社がなくなると同時に合同会社の制度が作られました。この年に会社法が改定されて、新たな法制度の下にいろいろと整理されたんですね。その際に新たに登場したのが合同会社というわけです。
では、合同会社が株式会社より劣るのかといえばそんなことはなく、会社の経営方針に合わせて、株式が良いのか合同が良いのかを選択するものであるととらえてください。
合同会社の特徴とは?
合同会社にはどんな特徴があるんでしょうか? 最も大きなポイントは、『出資者』と『経営者』が同じ人であるところでしょう。これが株式会社の場合では経営者と出資者は別々になっています(これを「所有と経営の分離」といいます)。
所有と経営が一体になっている合同会社は、言い換えると外から口出しする人がいない会社だといえます。したがって、経営方針を決めやすいので小回りが利くといえるでしょう。そのため、規模が比較的小さい会社を作る場合に適します。
また、株式によって資本金を集める必要がない場合も、合同会社が選ばれます。株式会社にしてしまうと、どうしても株主のために会社経営をしなくてはいけなくなりますので、お金を自分で調達できるのであれば、合同会社の方が自由にできるといえます。
合同会社の表記とは?
一般的には、「合同会社○○」や「○○合同会社」と表記します。略称では、「(同)○○」や「○○(同)」と表記します。このような表記を見かけた場合は、「おっ、あれは合同会社だな」と思ってください。
ちなみに、アメリカ合衆国には「LLC」という日本の合同会社に限りなく近い会社形態があります。したがって、日本でもLLCという表記を使う場合もあり、当社でもLLCという表記を使っています。(ちなみに、LCCは格安航空のことですよ!)
合同会社と株式会社は何が違うのか?
合同会社と株式会社で最も大きく違う点は、「所有と経営の分離」がされているか否かでしょう。別の見方をすると、資本金の集め方が違うともいえます。
合同会社 | 出資者と経営者は同じです。 会社を作る際にお金を出した人が経営します。 (すべてを自分たちでやるというイメージです。) |
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株式会社 | 出資者と経営者は別です。 会社を作る際にお金を出した人と別の人が経営します。 (難しい経営はプロに任せるというイメージです。) |
また、上記以外にも株式会社は法律で細かく規定されている部分が多いのに対して、合同会社は法律で決められている部分が少なくなっています。つまり、合同会社の方が会社運営の自由度が高いといえるでしょう。
合同会社は運営費が安いのか?
合同会社にすると運営費が抑えられるのかといわれれば、特別に安いわけではありません。ただし、会社設立に関しての諸費用はかなり抑えられます。
費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
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定款用収入印紙代 | 4万円 | 4万円 |
定款の認証手数料 | 5万円 | 不要 |
定款の謄本手数料 | 2千円程度 | 不要 |
登録免許税 | 15万円~ | 6万円~ |
合計 | 24.2万円~ | 10万円~ |
※1電子定款の場合、印紙代は不要。
※2登録免許税は資本金額の0.7%ですが、最低額は15万円(6万円)です。
ご覧のように、倍以上の費用差が出てきます。このように、会社の設立費用という点では圧倒的に合同会社の方が安いことが分かります。
また、株式会社は毎年『決算公告』という財務の状況を公開する義務があります。自社のホームページで公開すると電子公告という扱いになり無料ですが、官報や新聞公告をする場合は数万円以上必要です。つまり、電子公告にしない場合は毎年費用が発生します。
どんな役職があるのか?
合同会社の場合、以下のような役職があります。
- 代表社員(社員の中から選出)
- 社員(経営者かつ出資者)
合同会社では、社員が基本となります。これは、株式会社でいうところの役員に相当しますので、会社員という意味での社員ではありません。ややこしいですので、合同会社の場合は言葉の使い方にご注意ください。
また、社員の中でも代表となる「代表社員」が株式会社の社長に相当します。一般的には、合同会社でも社長と呼んでいます(社の長であることに変わりはありませんので)。これらはすべて法律上の役職ですので、実務上ではあまりお目にかからないと思います。
なお、会社によっては「業務執行社員」という役職を設けています。このようにすると、業務執行社員だけが経営者となり、それ以外の社員は経営にタッチしなくなります。株式会社のように、経営者と出資者を分ける仕組みにしているということですね。
そのほか、会社内の肩書については自由に決められます。流行のCEOとかCTOといったような横文字の肩書を使う会社もあるようです。
したがって、合同会社では「社員」という言葉の使い方にだけ気を付ければ、役職や肩書はご理解いただけると思います。
有名な合同会社はあるのか?
以下のような会社が合同会社です。(2020年3月現在の一例です)
- グーグル(Google)
- アップル(Apple)
- アマゾン(Amazon)
- 西友
- P&G マックス ファクター
- ユニバーサル ミュージック
- パラマウントピクチャーズ(NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
- 日本アムウェイ
- シスコシステムズ
有名企業でもたくさんの合同会社が存在しているのが、お分かりいただけると思います。特に目を引くのが、いわゆる「GAFA」のうち3社が合同会社であるところでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
合同会社について説明しましたが、怪しい会社ではない(笑)ことがお分かりいただけたのではないでしょうか? 日本では株式会社の方が名の通りが良いですが、世界的(アメリカ合衆国)に見れば、株式と合同は方向性に応じて選ぶもので、偏見は無いといえます。
むしろ、小さい規模で株式会社の場合はネームバリューのために「無理をしている」といえるので、かえって危ないのかもしれません。したがって、事業内容や会社の規模など、様々な視点から判断すべきだと思います。
このページをご覧になって、合同会社を正確にご理解いただければ幸いです。
以上、「合同会社とは?」と題して説明しました。