欧米人のマスク嫌いから、新社会人が学べることを説明しました。読者対象は就職が内定した新社会人ですが、すでに働いている方にも気づきが多いと思います。文化の違いを理解することの重要性を説いたからです。
なぜ、欧米人のマスク嫌いから学べるのか?
新型コロナウイルスの蔓延によって、今や世界中でマスクの需要が高まっています。一時期は入手困難になって、1枚100円なんてこともありました。そんな金額でも日本・韓国・中国などアジア諸国では、争奪戦が起こったのはあなたもご存じだと思います。
ところが、欧米ではそのようなマスク争奪戦はそんなに見かけませんでした。もともとマスクをする習慣がなかったというのもありますが、タダでもらっても、装着する人はほとんどいないのです。なぜなら、マスクが嫌いだからです。
実は、アジアと欧米での文化的違いがマスクの好き嫌いに影響しているのですが、そこを詳しく知るととても勉強になることがあります。そこで、マスク嫌いの理由を解き明かしていきますので、しっかり学びましょう。
欧米人のマスク嫌いから学べる、5つのポイント!
それでは、欧米人のマスク嫌いから学べるポイントをご紹介します。ポイントは5つありますので、ぜひ最後まで目を通してください。
なぜ欧米人はマスクが嫌いなのか?
そもそも、なぜ欧米人はマスクが嫌いなのか考えてみましょう。
まず何といっても、マスクをしている人が市中にほとんどいないというのが大きいです。欧米の町でマスクをしているのは、日本人や中国人などアジア人ばかりです。もし、欧米人でマスクをしている人がいたとしたら、それは医療関係者でしょう。
また、マスクは顔を隠すという点が、大きく印象を落としています。なぜなら、医療関係者以外で顔を隠すのは、強盗などの犯罪者しか考えられないからです。これではマスクの印象が悪いのが良くわかりますよね。
したがって、欧米でマスクをするのは顔を隠すための目的と考えられてしまうので、印象が悪くなり、マスクは嫌がられるということなんですね。でも、アジアでも怪しい人はマスクをしているのに、嫌われてはいませんのでちょっとした謎が残ります。
では、欧米人のマスク嫌いの根本的理由はどこにあるのでしょうか。謎を解き明かすために、もう少し掘り下げてみましょう。
人は顔のどこを見るのか?
謎を解き明かすためには、「人は顔のどこを見て相手の感情を判断しているのか?」という点を知る必要があるでしょう。ここではわかりやすく、欧米人と日本人を比べてみます。
欧米人は顔のどこを見ているのか?
欧米人が顔のどこで感情を判断するのかというと、それは「口(くち)」です。口の形を見ることで、喜怒哀楽の判断をしているそうです。おそらく、口の形を見ないと発音が分かりにくいという部分もあって、口調からも感情を読み取っているのではないでしょうか。
あなたもご存じかもしれませんが、欧米人は歯の矯正を積極的に行います。歯を矯正すると虫歯になりにくいという考え方があるからなんですが、実は「口は頻繁に見られる部分だからきれいにしておきたい」という理由も大きいのだろうと思います。
このように、欧米人は相手の感情を読み取るために口を見ています。つまり、マスクで口を隠されるとコミュニケーションが成立しないのが、欧米なんですね。
日本人は顔のどこを見ているのか?
では、日本人は顔のどこを見ているんでしょうか? 答えは簡単で、「目(め)」です。日本人は目を見ることで相手の感情を読み取っています。ことわざにもありますよね、「目は口程に物を言う」というのが典型的でしょう。
目を見て相手の感情を読み取るのであれば、マスクで顔の大部分を隠しても、たいして問題にならないわけです。だからこそ、日本ではマスクをすることにあまり抵抗がないといえるんですね(ということは、マスクに寛容な国では目を見ているということなのでしょう)。
ちなみに、日本ではサングラスにあまり良い印象がないのではないでしょうか。欧米人が積極的にサングラスをかけるのに比べると、普及率は低いでしょう。これは、目が隠れてしまうことで感情が読み取れなくなるからなんでしょうね。
このように、日本人は相手の感情を読み取る際に目を見ています。つまり、マスクで口が見えなくなってもコミュニケーションが成立するのが、日本なんですね。
本当にそうなんだろうか?
「本当にそんな違いがあるのか?」と疑う人もいらっしゃるでしょう。確かに、日本人の感覚からすれば、目を見ないでどこから感情を読み取るんだと思いますよね。もちろん決定的な証拠が有るからこそ言っていることで、想像や推理ではありません。
なぜ感情を読み取る顔の部分が国によって違うといえるのかというと、あるインタビュー映像がヒントになりました。それは、とあるテレビ番組で日本式のマークについて、日本の街角で外国人にインタビューしていた時のことでした。
スマイルマークを見た外国人が、ことごとく「このマークは怒っている」と答えたのです。欧米人はほぼ全員そのような回答でしたし、アジアでもかなりの人が怒っていると答えていました。つまり、笑っていると思っているのは日本人ぐらいだったのです。
そこで怒っていると感じる理由を聞くと、皆さん一様に「口が怒っているときの形だから」と言っていました。一方で、日本人に笑っていると感じる理由を聞くと、「目が笑っているときの形だから」という答えが返ってきました。
それで、欧米人が歯の矯正をする理由や、サングラスをかける理由が自分の中で腑に落ちたのでした。すると、マスクで口が隠れることを嫌がる理由も納得がいくわけです。
結局、欧米人のマスク嫌いから何が分かるのか?
ここまで欧米人と日本人が顔のどの部分から感情を読み取るのかお話ししてきましたが、何が学べるのでしょうか? それは、文化の違いを理解するということです。
欧米人がマスクを嫌がるからと言って「あいつらは変だ」とは言えません。日本人がマスクをしている姿を見て「あいつらは変だ」と欧米人は思っているかもしれません。大事なことは、文化の違いを理解して、「そのような考え方もあるのだ」と受け止めることです。
自分と違うから変だと考えるのは、きわめて傲慢です。「自分は正しい、それ以外の考え方は間違っている」という自分勝手な考え方では、他人と分かり合うのは不可能です。ましてや国際交流などありえないです。
これは日本国内でも同じです。ほかの県へ行けば文化が違いますが、家庭という小さな単位でももちろん違います。学校や会社でもやはり文化が異なります。「違う」ということを非難するのではなく、興味を持ってお互いに理解しあうことがとても大切なのです。
まとめ:「所変われば品変わる」と肝に銘じましょう。
いかがでしたでしょうか?
欧米人のマスク嫌いから、文化の違いを理解すべきであるというお話をしました。社会人になると、「何であんな言い方をするんだ?」とか、「それは違うでしょ」という場面に多々出くわします。もちろん間違っているときもあるでしょうが、文化が違う場合もあります。
ある会社では、「会議室のドアを開けておけ」と言われます。「ふつうは閉めるでしょ」と思うかもしれませんが、使用中はドアを閉めるので、開いているときは未使用であることが一目瞭然です。合理的なやり方ですが、「所変われば品変わる」わけです。
自分の感覚や知識と違う文化には、それなりの理由があります。頭ごなしに批判するのではなく、「違う理由」を突き止めることが重要です。それが、単に場を丸く収めるだけでなく、自身の人間的成長にもなることにお気づきいただければ幸いです。
以上、「欧米人のマスク嫌、新社会人が学べることとは?」と題してお話ししました。