新卒が3年で辞めるのを防ぐ方法について説明します。読者対象は現場の部課長さんですが、人事担当者にも参考になるでしょう。最初の、採用選考時点での問題点についても言及しているからです。
新卒が3年で辞める、なぜ最初が肝心なのか?
「新卒が3年で辞める、何とかならないだろうか?」と考えたために、あなたはこちらのページをご覧になられていると思います。確かに、すぐ辞められてしまうと困りますが、中には数か月や1・2年で辞めてしまう新卒入社の社員もいるでしょう。
ところで、新卒の3年以内の離職率は約3割だそうです。このデータは厚生労働省より継続して出されていますが、実は数十年前からずっと同じ状況が続いています。つまり、企業だけでなく、社会全体が何らかの問題を慢性的に抱えているのではないでしょうか。
早期離職の理由には様々なものがありますが、実はその多くは、最初の対応を間違えなければ防ぐことができるのです。したがって3年間の蓄積というよりも、働き始める前から対策のタイミングが始まっているといえます。
そこで、どのような対策をすればよいのか、新卒が3年で辞めてしまう理由とともに詳しく見ていきましょう。
新卒が3年で辞める、その理由と対策はこれです!
それでは、新卒が3年で辞めることについて、その代表的な理由と対策をご紹介します。
希望とのミスマッチがある
新卒者の希望と実際の仕事の間にミスマッチが起こっている場合に、会社を辞める人が少なくありません。例えば、研究職がしたいと思って入社したものの、実際には営業職に配属されてしまうというような場合のことを指します。
さすがに極端な例かもしれませんが、「今営業マンが足りないので頼むよ」というような形で配属されることもあるでしょう。最初は仕事を覚えるのに必死でしょうが、落ち着いてくるとやがてふと気づいて、「やりたいことができていない」となります。
これが俗にいう『配属ガチャ』というやつで、入社後に自分がやりたいことができるかどうかは運しだいということです。新卒者が「この仕事も悪くないなぁ」と途中から思ってくれればよいですが、「嫌な仕事だ」と思い続けていたら3年後には退職でしょう。
したがって、最初の段階で本人の適性や希望に合った配属を行うことが重要なのです。いわゆる『ジョブ型採用』に移行すべきでしょう。
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人間関係がうまくいかない
人間関係がうまくいかないために会社を辞める場合は、かなりあるのではないでしょうか。新卒者に限らず、あらゆる世代で上位に来る理由でしょう。その中で、特に新卒に焦点を当ててみると、「上司が合わない」という場合が少なくないようです。
上司とうまくいかないという理由で辞めるのは、欧米では非常に多い理由だそうですが、雇用全般がじわじわと欧米化しつつある中で、今どきの新卒に増えてもおかしくない理由ではないでしょうか。自己主張が強い欧米的な人が増えていますからね。
ところで、どのような点が合わないのでしょうか? これは単純に相性が合わない場合も含まれるでしょうが、上司によるパワハラもあるようです(実際には、ちょっとしたアドバイスや叱咤激励すらもパワハラと受け取る人が少なくないようですが…)。
自分としては一生懸命やっているのに、それにケチをつけられたと受け取るらしいのです。実際には仕事を始めたばかりの新人ですから、どんなに頑張っても成果が上がることなどまずないわけですが、上司のせいでうまくいかないと思い込んでしまうのかもしれません。
このようなことに耐えられなくなって、3年も経たずに辞めてしまうようなのですが、これも配属や仕事のミスマッチが引き金だと思われます。やりたくない仕事を無理やり頑張っているのですから、何か言われればそりゃ頭にくるでしょう。
明らかに配属や仕事の振り分けをミスしていると思われますので、最初に本人の希望や適性に合わせるべきだったのです。
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【参考】上司に問題がある場合も多い
もちろん、新卒者だけの問題ではなく、上司に問題がある場合も少なくありません。指導力不足の上司は再教育が必要であることは間違いありません。部下と上司どちらの問題なのか、あるいは両方に問題があるのか、見極めることも大事でしょう。
年収に不満がある
給料が少なく、年収が低い場合にも新卒が3年で辞める理由になるでしょう。しかし、年収がどれくらいなのかは入社時に分かっていたはずです。伝えていなければ問題ですが、そうでなければ明らかにモチベーションが下がった結果だと思われます。
つまり、流れとして以下のような感じではないでしょうか。
- 最初は仕事を覚えるので手一杯
- 慣れてくると仕事が合わないことに気づく
- やりがいが感じられなくなる
- すると金銭面に目が向き始める
- 仕事の割に給料が安いように感じる
このような感じで、仕事に対してのやる気が落ちることによって、給料の額に目がいくようになります。「やりたくない仕事をしているのだから、せめて給料はたくさんほしい」となるのでしょう。仕事が面白くなければ、楽しみは毎月の給料だけです。
しかし、入社3年程度では大した昇給などあるわけもないですから、当然ながら金銭的に報われることはなく辞めてしまいます。これも本人の希望や適性に合わない仕事なので、このような気持ちになってしまうのです。
やはり最初の段階で、本人に見合った仕事を割り振るべきだったと思われます。
最初の採用時に問題がある
最初の採用時に問題があるのではないでしょうか。端的に言うと、すぐ辞めてしまうような人を選んでしまっているということです。実は、これが早期離職の最も根底にある理由ではないかと考えられます。しかし、これは新卒者本人というよりは企業の問題なのです。
もう少し詳しく説明すると、自社の仕事に対して「性格的に向かない人」を採用している可能性が極めて高いのです。多くの会社では能力的な適性検査をすると思いますが、性格的な向き不向きを検査していないのではないでしょうか。
どんなに優れた能力を持っている人でも、性格的に向かないのでは長続きしません。ここまで説明した3つの辞める理由も、採用時の問題が尾を引いていると考えられます。これはいかんともしがたい部分で、配置換え意外に対処のしようがありません。
できるだけ性格的に向く仕事に変えて、できるだけ嫌なことから遠ざけるようにしてあげるべきではないでしょうか。
【参考】なぜ性格が影響するのか?
なぜ離職に性格が影響するのかといえば、性格は変えられないからです。これは心理学者の研究によって証明されているのですが、性格は幼少期にほぼ確定してしまうので、大人になってから変えることがほぼ不可能なのだそうです。
すると、性格に合わない仕事を日々我慢することになります。その結果、不満やストレスが溜まり続けて、あるとき爆発してしまうわけです。なので、何が不満で早期に会社を辞めるのかといえば、仕事との性格的な不一致だといえるでしょう。
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具体的な解決策とは?
ここまでお話ししてきた通り、新卒者が3年で辞めてしまうのは、最初の段階で対応を誤っていると考えられるのです。これまでのような本人の希望や適性とは関係のない配属は、我慢できることが絶対条件ですが、現代の若者は我慢ができません。
では、いったい何を我慢しているのかといえば、本人の性格が仕事と会わないという点です。性格的に合わない仕事だとやる気が起きなくなり、モチベーションが低下します。すると辛さだけが増幅し、将来を悲観して辞めてしまうのです。
つまり、最初の採用選考の時点で性格を調べて、どのような性格的な適性があるのかをつかんでおけばよいのです。もちろん勘に頼るのではなく、性格検査などを活用して数値データで把握すべきでしょう。(人材育成用のEQPI検査がお勧めです)
事前に検査しておけば、「営業に向くのかデスクワークが得意なのか、リーダー気質なのか指示されるのが好きなのか、伝統を重んじるのか新しいことに挑戦するのか」などのようなことがかなり具体的に分かりますので、ミスマッチを防げるでしょう。
既に入社した社員はどうするのか?
入社して1~2年経過した新卒者の場合はどうすればいいのでしょうか? このような方たちに対しても、やはり検査をして性格を把握すべきです。そして性格に見合った仕事や配属にすることで、やる気が回復して離職を免れる可能性が高まります。
ただし、すでに辞めることを決めている人を引き留めるのはできないかもしれません。そこまで追い込まれるまでに、上司や会社が気づいていないところが問題ではないでしょうか。
まとめ
新卒が3年で辞めてしまうことについて理由と対策お話してきましたが、いかがでしたでしょうか?
辞める理由についていくつかお話ししましたが、すべてに共通している点として、最初の段階で対応に問題があるのではないかと、ここでは結論付けました。具体的には、性格的に合わない仕事をさせてしまっていると思われます。
したがって、本格的に仕事を始める前の内定段階や事前教育などで、性格を把握しておくことが必要なのです。そして、その性格に合った配属や役割分担をすることで、心地よく働ける状況をつくることが大切だといえます。
現代の若者は嫌なものは嫌と言い、我慢しませんが、性に合うことや好きなことなら続けられるはずです。早期離職を防ぐためには、現代の若者の特性も踏まえた考え方が重要です。ストレス社会ですから、少しでも環境を整えて楽にしてあげてください。
若者に従来のやり方を押し付け我慢させるのではなく、会社側が歩み寄って社内の体質を変える必要があることをご理解いただければ幸いです。
以上、新卒が3年で辞めるのを防ぐ方法について説明しました。